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藤川真一について


初代モバツイ開発者
想創社再創業 / KMD博士課程
著書〜100万人から教わったウェブサービスの極意―「モバツイ」開発1268日の知恵と視点 [Kindle版]
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February 21, 2012

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受託は自分のサービスを作るためのつなぎ、とか、いろいろなスタイルを目指すのは別に良いんですけど、こういうことは理解しておくと良いかもしれない。

1.受託とサービスの両立が難しいのは、「当月の稼ぎ」と「明日の稼ぎ」の両立が難しいから。

もし同じオフィスに、デスマ的な顧客案件と、まだ数ヶ月以降に儲かるかわからない案件をやってるグループが共存していたらどうなるか。

顧客案件グループは徹夜で毎月の納期を間に合わせる。
サービスグループは、そこまで追いつめられてないから、割と普通に帰れる。

とした場合に、心の平静を保てるか。

僕はかつてそういう状況のサービス側の立場にいて、目の前で崩れて行くデスマプロジェクトを助けられない立場にいたのが辛かったのです。

会社としても、両方のビジネスに賭けているいるのだから仕方ない部分もあるんでしょうが、現場の立場としては、いやいや全部止めて目の前の問題、解決しようよ、というのは自然な気持ちです。

また売り上げ面でも自転車的になっていけばいくほど、顧客案件のチームが辛くなります。ここは会社の働き方やビジョンって重要。何より儲かってることも大事なんだと思います。


2.「受託がつまらない」という人達は不幸だと思う。何故ならファンタスティックな案件をやってないからつまらないんじゃないかという疑問が。

受託をメインのビジネスとして腹括ってる人達だって思ってる。自分たちの選択可能性やコミットメントの可能性が全くない案件をやる辛さ。

いわゆる孫請けみたいな受託は辛いよね。そういうのやったことないけど、仕様選択の自由がない開発だけする仕事って面白くないと思うし。

例え案件規模が小さくても、一次受けに近い立ち位置にいることは楽しさに繋がってくる。

アホの立場を尊重するためだけの仕事なんてしたくないよね。それはみんなそう思ってるから。

そうではなく成果ベースで、お客様に必要とされて、良いものを作るべく提案をして、自分たちで責任にコミットする「受託」とは全然仕事の質は変わってくる。

もし自社サービスの魅力が、自分たちの「選択可能性」と「責任」に基づく働き方が楽しさの本質だとしたら、それは受託でも実現できると思う。

「クリエイティブで働くにはどうしたら良いか?」という戦略の話。


3.これからは受託業務が大事になってくると思う。

何故なら今までの狭いインターネットから、あらゆる業務がネットに繋がる時代になって行くから。可能性はどんどん広がる。

肝は、ネット系企業の人間だけじゃ絶対にできないことを、お客さんの技術やサービス、コンテンツを活用することで実現できることだと思う。


僕が2000年に、B2Bの製造業からB2B2Cのネットで受託業務に転職して一番びっくりしたのが、お客さんが圧倒的に素人だったということ。

受託業務のお客さんは、エンドユーザーに何かを提供したい事業会社ということになります。しかし、ここは受託の限界でもあるのですが、どういうアプローチをとっても最後はクライアントが理解できるものしか作れないという問題があります。ここの同期が取れていないものは、独りよがりになってしまい、あまりハッピーになりません。

まだ、当時はWebに対する知識も厳しかったり、結構年取った担当者だと、考え方が固まってしまい説得するのに一苦労することも。

やっぱり作ったサービスや会社が儲からないとポジティブなサイクルは回って行かないから、Webサイト、WebサービスもKPIに対して、うまくいかないと次に繋がって行かない。

今は顧客がWebサービスを作ってる会社であることもあれば、Webで成功したメディア企業であるケースもあるし、内部に開発部隊を抱えているところもある。相手が自分よりもプロであることも少なくないし、何よりお客さんも経験を積んでいる。

製造業だった時は、僕はある生産装置を提供する立場だったのですが、その生産技術については、お客さんの方がプロなのですね。お客さんはパソコンやテレビ、車の電装部品を作っている会社なので最前線のノウハウや必要なことがあります。先方が詳しいところと、こっちが餅は餅屋としてやっているところ、それぞれの強みをぶつけるのが商売の肝ということになる。

インターネットも徐々にそうなってきているので、当然、お客さんからの判断もより厳しい面も増えつつあるんだろうけど、一緒に、より高みを目指す事も可能になっている。

モバイル技術でインターネットがより身近になっている今だからできることってあるんじゃないのかな。


4.受託とサービスの境界線って、うまくやれれば曖昧にできる。

受託ってどうしても人月計算でのパートナーシップなので、ある種の限界みたいなものがないとは言い切れない。とはいえ、よくよく考えると、会社と社員の雇用関係も、ある種の時間給をベースにした継続雇用契約だ。基本的には1日8時間の枠を基準とした人月計算とも言えなくもない。社員は、帰属意識やチーム、共同体意識でそんな打算的な関係にしない、というのであれば、外部のパートナーとだってプロ意識の共有をベースとしたよい関係性は不可能ではないのではない。

実際にそういうことをうまくやってる人は山ほどいると思うし。

また自社サービスと言ってもSaaSやASPサービスを提供する立場となると、「カスタマイズを受け付けないB2Bサービス」になる。

自社サービスの継続的に改善する視点からすると、「顧客要望をフリーミアムに解決してる仕事」とも言えなくもない。顧客要望を実装で提供するのが受託開発の基本なのだから、あれ、それって何か違ってたっけ?!とか。

また、受託業務において案件の到達点の高みを目指す場合には、フレームワークやオープンソースプロダクト、自社プロダクトの活用は必須なわけだから、うまく自社プロダクトを用意すれば、限りなく「サービス企業」に近くなるとも考えられる。


5.受託嫌いの本質は、人と一緒にやるのが面倒くさいんじゃないか説。しかし、これからはサービスでも不可避だ。

一人の開発者だけで作るサービスが売れる時代は終わっている。ある意味Facebookが究極かもしれない。プラットフォームとしてはFacebookやTwitterに持ってかれた可能性が高い。もう一個上のレイヤーで差別化していかないといけない。

どこにも存在しないサービスを作りたいなら自分でやるしかない。テクノロジベンチャーか、ソーシャルを生かした情報革命型のベンチャーか。後者なら技術だけでは作れないはず。


6.レベニューシェアや協業案件をうまくやることで儲ける事はできるだろう。

受託の問題は利益がハネることはないので、人数リスクとのバランスで売り上げのピークがなんとなく決まってしまうところ。カフェビジネスなどと同じで、回せる案件の数と規模で売り上げ利益がほぼ決まってしまうので、ソーシャルゲームで何億円稼ぎましたみたいなことにはならない。レベニューシェア案件がうまく回れば、そこをベースに継続的な改善もできるので、売り上げも安定するし利益も見込める。

ただレベニューシェアの基本って、お互いの持ち味で成功可能性がある程度見えていることなので、ある種のwin-winの関係。単純な発注請け負いの関係ではなく、双方に提供するメリットが双方の力を上回るからこそ組む意味があるわけだよね。シェア率を高めたければ余計に。

そのよりどころが技術なのか運用なのかプラットフォームなのか、他社に負けない、サービス的な地力や実績を積み重ねている組織が勝つ。組む相手からしても、ただの生産工場とレベニューシェア契約を結びたいとは思わない訳だから、ネットビジネスらしいノウハウや実績と継続的改善の部分で組むのが基本原則ではなかろうか。


p..s.と言っても自分がそういう案件を取ってきたわけではないので、僕がいた会社に恵まれていたんだと思います。そういう意味ではぐるぐる回ってしまうけど、何か上を目指している会社であることは大事だったのかも。それがサービスでも何でもいいけど。手持ち材料でうまくやろう、じゃなくて、いつもチャレンジしよう、という体質が楽しい案件を生むんじゃないかと思ったり。

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