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October 27, 2007

2000年〜2003年末 動画1.0
IIJ、JStream、Sony、NEC、各ADSL業者、Real MediaからWindows Mediaへ・・・ブロードバンドの立ち上がりの期待感から動画配信、ストリーミング配信に参入する業者が相次いだ。

当初、家庭用ブロードバンドの期待があったが、なかなか導入されないADSL、FTTH(死語)の状況に動画配信各社は、ビジネス向け動画配信に梶を切る。つまり企業内配信だ。

2002年頃は、動画のIR配信、社内教育などに活路を見いだして、中には倒産する会社もあった。僕も前職で動画配信のCMSを開発していたので、Windows MediaやReal Media、Flash Communication Serverに関しては多少なりとも経験はある方だと思う。

この時代を、勝手ながら動画1.0と称するならば、日本の動画1.0の終演は、2003年末に NTT BBのBROBAが縮小し、gooをやっていたNTT-Xに吸収される形で、NTTレゾナントという新しい会社になった頃だと思う。

多くの人には、ISPがガンダムを配信し始めたとか、そういう経験が大きく記憶に残っていることだろう。

そして、今は「動画2.0」が現在進行中

Youtubeから、ニコニコ動画。夏以降のtwitterユーザーによるUStream配信などがそうだ。今後は、Flash Media Serverによる携帯向け動画配信や、iPhoneなどでモバイル環境にも影響が出てくるだろう。ニコニコ動画が、動画をコミュニケーションの道具にしたことからも、モバイルにおいても何が起きるかわかったものではない。

配信フォーマットはFlash(flvファイル)が主役である。

Youtubeが切り開いたのは、HTTPでflvを配信したこと。

軽量のWebサーバを多数配置し、おそらく低コストでCDN(コンテンツデリバリネットワーク)を構築しているのではないかと思う。

比較的、低価格な動画配信コストをベースにニコニコ動画が出てきた。

そして、UStreamは無料の動画配信機能を提供するサービスだ。同様のコンセプトでStickamという会社もある。

ユーザーはUSBカメラをパソコンにつなげば、自分の様子をインターネット経由で他の人に放送することができる。

動画配信に関して、到底、回線コストが安いとは思えず赤字垂れ流しなんじゃないかと思うが、とにかくユーザーを集めて、Y!、googleに買収されるモデルなのかもしれない。

まぁ、とにもかくにも我々は無料で動画配信を楽しむことができる。

そして先週、これら動画配信の低コスト化を背景に、新たにビジネス利用をする動きが立て続けに二件発表された。

一つは、WebSigモデレータの茂出木さんのキッズプレート社が始めた生放送を提供するサービス。

企業と顧客との、より深いコミュニケーションを実現する生放送番組制作支援サービス「企業チャンネル」を開始

である。これは、Smashmediaの河野さんと放送作家の方の協力を得て番組企画を行い、Stickamを通じて番組を放送するものだと言う。

既に、ラジコンメーカーの京商がやっているラジコン大会の中継が行われて良好な成績が出ているそうだ(詳しくは、キッズプレート社のブログ参照:「「企業チャンネル」テスト配信の結果が出ました。」)

そして、もう一つは、今開催中のモーターショーのマツダブースで生放送しているマツダだ。


mazda2.jpg
MazdaLiveTV!

こちらはUStreamを使って、モーターショーの情報を生中継していた。
本日、初回の放送があったが、来週の平日にもKNNの神田さんによる現地リポートをやるそうだ。

おそらくであるが、放送の確実性、配信の信頼性を選択するならば、いくら無料でもUStreamやStickamは利用しにくいのではないだろうか。

それより重視したのは、「ダイレクトにメッセージが伝えられること」ではないだろうか。

多分、この二つの動きには、昔、動画1.0の時に多少なりとも志向していた、「マスメディアの代替品」を目指すような気持ちは全くないだろう。

昔、ライブドアの堀江元社長が放送とインターネットの融合というお題をかかげていたが、そこで提案されたものに、Web屋にとっても、TV屋にとっても、そんなに新鮮なものはあまり無かったように思える。(ただしWeb屋にとっては、そういう場に出てくることが新鮮なことだったので、僕は応援していた。)

それは動画1.0が志向していた道だった。もしかしたらGyaoは今でもその道を目指しているかも知れない。しかし残念ながら今のところ大赤字らしい。

ここで紹介した生放送に関しては、河野さんのブログ「対話型マーケティングと今後の企業サイトのあり方」や、茂出木さんのブログ「RE:対話型マーケティングと今後の企業サイトのあり方」に書かれているように、新しい企業と消費者のコミュニケーションの一つの方法として存在する。

かつての「お茶の間」にあったテレビとは大きく違っているし、「動画1.0」の頃の技術ありき、インフラありきで、「じゃぁ何やりましょうか?」と考えた頃とは全然違う。


さて一番大事なことは、この活動にちゃんと賛同している企業がいることだ。

京商にせよマツダにせよ、まだチャレンジの段階だと思うが、例えば今日現在、マツダのトップページから堂々とリンクが貼ってして、決して隅っこでこっそり実験しているような企画ではない。

TV局はスポンサーがあって成り立つビジネスモデルだが、マスメディアが流す広告の適切なリーチがどんどん下がっていると言われる。

もちろん下がっても効果がなくなるハズはないのだが、結局はテレビを見ない人が増えていると言うことから、テレビもまたオールマイティなメディアではなくなっているとも言える。

そういう現状でのコストと効果を、同じ生放送という軸で見たときに、このニッチユーザー向けなダイレクトマーケティングの活動はどう評価されていくだろうか。

もちろん、UStreamやStickamに同時に1000人も殺到したらまともに動画は流れないのかもしれない。(仮に300kbps×1000人だと300Mbpsも回線が必要だからね)

だからマスメディアの代替になるものではないし、それを明示的に目指してはいけない。

現状ではマスメディアではフォローしきれないコアユーザーの補完となるべきものだと思う。(そもそもTVの代替になるような話だとしたら、マツダのプロモーションをしている人だって、好ましいものではないだろう)

UstreamやStickamの名前を聞き始めたのは、僕は、ここ半年ぐらいだった。

なのに何故、こんなに早く企業案件の話が動き出したか?というのがポイントで、それはずばり低コストだからだろう。

低コストは何事にも代え難いスピードを生み出す。

2000年頃にルナシーの香港ライブの打ち上げパーティに潜入できたことがあって、イーアクセスの千本社長が、

「インターネットはおもちゃだと思っていた」

とおっしゃっていた、KDDIという通信のプロから見たインターネットへの視点だ。

しかし、今ではインターネットは普通に仕事のインフラとして使われ、IP電話という電話インフラへの代替品にまで成長した。

そして、僕が今いるペパボのレンタルサーバー「ロリポップ」は、レンタルサーバーに低コストの風穴を開けた。

それまでの品質は良いが、価格も高いレンタルサーバーから、データが消えたらごめんなさいという利用規約の下で、低価格なサービスを始めた。

とはいえ、現実的にそんなにデータが消えてるわけではないし、サーバーの稼働率も99.9%は超えているハズ。もちろん社員は一生懸命働いていて、データが消えて良いなんて誰も思っちゃいないし、サーバーが止まらないようにサーバーチームが深夜もちゃんと対応している。そういうのは他の会社となんら変わらない。

ただ、変わったのは「ちょっとした心持ち」だ。
簡単に言うと、恐怖に対する防御コストが下がったと言える。

コストが高くなるのは、落ちてはいけない止まってはいけないというタテマエに対する対策コストがあるからだと思う。

免許事業であるテレビ局も放送事故が起きないように二重、三重の防御策を整えているだろうし、災害時にも耐えうる設備を設けていることだろう。

これはこれで重要なことだし立派なことだ。

ただし電通などとの構造も含めて完成されたビジネスモデルは超高コスト構造だ。
何より社員の給料はべらぼうに高い。

これがいつまでも続くのだろうか?
なにせ企業の莫大なスポンサー料は、元を辿れば消費者のお財布から出ていることを忘れてはいけない。

今は免許事業が故に既得権益になっているテレビ局であるが、今後は免許事業が故に苦しむ時代になっていくこともないとは言えないだろう。


なお今日のマツダの放送は、僕が見たときは同時接続150人ぐらいだったが、全然普通に流れていた。まだまだいけると思う。

土曜の昼間にわざわざWebブラウザを立ち上げて見てくれるユーザー。ネット関係者や、twitterユーザーかもしれないけど、こういうユーザーのロイヤリティって結構高いんじゃないかな。でも、放送の中で言っていたのは、最初に出てきたコンパニオンの人がいなくなった後も視聴者が減らないどころか増えてきたとのこと。

だって普通に番組として成立してたもんね。あと、前回の放送で紹介した、会場限定の物品販売に関するフィードバックがすぐに行われているのも新鮮だった。商品が売り切ればかりで、そういうのがなんか面白くて。

ネット業界は車に興味ない人が多いので、ちょっとしたtwitterユーザーなら、最後まで見ない人が多いだろうから、その人たちとは違うような気がする。

あとマツダの広報の人、話うまいなぁ。全然、生放送OKじゃんと思って見てました。「新車情報」とかで鍛えられたんですかね。


なお今回のモーターショーのマツダブースでは、僕が乗っているアテンザのフルモデルチェンジが発表されています。

正直、次はマツダはいいかなって思ってたんですよ。

買えれば一度ぐらいはBMWに乗りたいし、トヨタも嫌いな会社じゃないし。アテンザが良かったのは、確かにデザインと、曲がる、止まる、が良かったんだけど、あと一押しとして、フォードグループの中で、マツダという会社がプレゼンスを発揮するようになった車作りというストーリーを評価してのこと。

なので復活するマツダへの応援的意味合いもあった。広島にも子供の頃ちょっとだけ住んでたしね。

でも、こうやってアテンザの新車種発表で、こういう先進的な試みをやってもらえるとユーザーとしてうれしいですね。

今後、こういう活動が車作りにも反映されていって面白い会社になっていってくれれば、次もマツダはありかなぁとは多少なりとも思いますね。次は、インターネットとの融合度合いで車種を決めようと思っています。変なサービスを自社で囲い込むモデルじゃなくて、うまくオープン戦略で幅広い可能性を見いだしてくれたところに、次なる10年のカーライフを託そうかと。


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