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藤川真一について


初代モバツイ開発者
想創社再創業 / KMD博士課程
著書〜100万人から教わったウェブサービスの極意―「モバツイ」開発1268日の知恵と視点 [Kindle版]
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March 25, 2008

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ペパボのロゴリニューアルプロジェクトでもお世話になって、僕らチームも今お世話になっているicoccaの佐野さんが書かれた本。

さまざまな会社のプロジェクトリーダーに成功させる秘訣とアイディアをインタビュー形式で聞いている内容です。


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プロデューサーズ―成功したプロジェクトのキーマンたち

Amazonではまだ写真の用意もできていませんが、山積みになっている本屋もあるようです。アマゾン遅いよー!(写真は、佐野さんのblogから拝借)

どんなプロジェクトの話が書かれているかというと、

・エビス<ザ・ホップ> サッポロビールのエビスブランド戦略部長の立山さん

・映画「鉄コン筋クリート」
STUDIO4℃主宰の田中さん

・デジタルステージ(digitalstage)の平野社長

・オイシックスの高島社長

・Xbox360のゲーム「ブルードラゴン」のプロモ「BIG SHADOW」をプロデュースされたGT,INC.の内山さん

・絵本「くまのがっこう」の相原さん(なんと所属はバンダイのキャラクター研究所所長!)

・SAMURAI 佐藤可士和さんの奥さんである佐藤悦子さん

・R-Investment&Designの武藤さん
 (家入さんが借りてるAgitoがここの物件かな?!)

・りそな銀行コラボレーションプロジェクトREENALの藤原さん

文字で書くと結構ありますね。でもインタビュー形式なのでさくさく読み進めます。

それこそMBAやMOTで学ぶような原理原則的なイノベーションの方法論も良いんだけど、実際に現場で動いて苦労した声ってのはとても貴重で励みになります。

この本の中で、僕が気になった部分をあげていくと、

■エビス<ザ・ホップ>

P.17

エビス<ザ・ホップ>を出すのに一番反対したのは実は社内なんです。
我々が一番心配したのは、エビスビールが好きで、エビスを信奉してくださるコアなお客様が離反することでした

ビールを飲まない人でもTVを見ていれば名前ぐらいは聞いたことあると思いますが、エビスが位置するのはプレミアムブランドという高価格帯な商品なんですね。最近は、この領域も激戦区になっている中で、一番手はユーザーが変わることを望んでいないという例でしょうか。クラウンなんかも同じですね。リニューアルの騒動を見ると、mixiなんかもそうだったでしょうか。

P.21

エビスを選んでいる人は、「自信をもって、エビスを選んでいる自分がかっこいいと思うから」という気持ちがあるのではないかと想像するわけです。

MacやBMWみたいなもんですかね。でもそういうの重要。そもそも当たり前のことができてないとその地位にはつけません。

P.22

マーケティングはやってみないとわからない

先に理論があってそれが本当に実現したならすごいと思うんですが、実際にそんな綺麗な話はなくて、やってみなくちゃわからない。

ビールのマーケは国内のマーケティングの最高峰に位置する立場。ビールってなんだかんだ言ってイメージ優先ですしね。プレミアムモルツだって、どれだけ週末の矢沢永吉が寄与してるか。そんな戦場で戦ってる人がこう言ってるってことが何よりも貴重。

P.26

みんなで意見を出し合って、その集積や多数決、平均値で物事を決めていく進め方では、あまりとんがったいいものが創れない気がするんです。

とはいっても1人で全てはできないですから、イメージを共有してきっちり分業していくことは必要ですが、物事を決めるときは少人数のほうが良いと思います。


■鉄コン筋クリート
STUDIO4℃は、スタジオジブリで、「となりのトトロ」のラインプロデューサーをやられていた田中さんが社長のクリエイター集団。

p.43

仕事中に「できない」って言うスタッフがいて、「そのセリフだけはやめろ!」と、みんなの前で怒鳴ったことがあります。

「できない」と思いこんでいる時は、何をどうやってもできるわけがない。

どんな状況なのかはわからないところですが、確かに諦めたら終わりですね。

ただ「エンジニア発想が小さくまとまってしまう理由」と同じ要因はありそうですが。

P.45

どんな状況でも「まぁいいか、しょうがないか」とはしません。それを認めたら300人で仕事をしていたら「まぁいいか」が300倍になってしまいます。そんな作品は良いはずがない。

…「まぁいいか」…か。あぁ…(反省)

やっぱり女性社長らしい強さがとても伝わってくるインタビューですね。高い作品のクオリティにある妥協なき部分が少し見えるような気がします。


■digital stage

P.70

「敵は身内にいない」・・・プロジェクトを進めていると、すごくギスギスしたり、仕事が大変だったり、答えが見えなくなったりする時・・・それを「罠」って呼んでいるんです。

「スケジュールを詰めないとやばいよ」って、スケジュールを詰めることが仕事になっていたりした時なんかも罠です。

よくありがちなガントチャートの線をずらすだけの簡単なお仕事です・・・ってな状態はむなしいものですね。

そこにはマネジメントもないという。

なおdigital stageさんは、平野さんの個性で、はてなに負けないぐらい個性的で変な会社だと思います。

via:F's Garage:旅する会社


■ブルードラゴン BIG SHADOWプロジェクト

渋谷のど真ん中でドラゴンの影を投影するプロジェクトだそうです。Webサイトで、tha社の中村勇吾さんが関わっています。

そういえば、中村勇吾さんは、今度のプロフェッショナル仕事の流儀に出られるみたいですね。そこで出ていたプロフィール見たら、灘中-灘高-東大と来て、今のクリエイターの立場。名実共にまさしくスーパークリエイターというか天才。
昔、オフでどんなお仕事を普段なされてるんですか?って聞いたら、普通に仕事してますっておっしゃられてました。なんか失礼な質問をしてしまったと後で後悔しましたが、なんかそれだけのことがとても新鮮でした。ちょっと脱線しました。

P.110

Q.---クライアントとの間に、ズレが生じることもあると思いますが。

A.誤解をおそれずに言うと、どこかで妥協せざるを得ないことがあります。何に対して、誰に対して妥協するのかは難しい。

〜略〜

そもそも僕らは、クライアントの代弁者です。ただし、100%クライアントの代理であれば、クライアントの言うとおりにやっていればいいのですが、ある程度ユーザー側の代理人でもあるわけです。つまり、クライアントは、自分たちが知り得ないユーザーたちの声を知りたいがために、わざわざ僕たちを雇っているわけです。

〜略〜

中には「クライアントの言うことを聞いていたら、良い物は作れない」と主張するクリエイターもいるようですが、僕は絶対にそうは思いません。クライアントは、僕たちよりも遙かに長い時間をかけて、その商品について考え続けている。

クライアントは、その商品についてずっと考えている。しかし、それが当たり前になり過ぎて、ITやらインターネットやらという小難しい言葉の前で、その知見を生かすことができなくなっている。

そこをうまく繋いであげることが大事ですね。

ちなみに、以前、久米繊維工業の久米社長にネットショップ運営についてお話をお伺いしたときにも全く同じようなことをおっしゃっていて、「良い物を作る人が、必ずしも、それの魅力をうまく説明することができない」、と。天は二物を与えないようにできていて、だからこそ代弁者としてのショップの存在が重要である、と。


その他、R-Investment & Designの武藤さんもかなり良いです。りそなの藤原さんも、とても銀行のやってることとは思えないような話でした。全部を引用するわけにはいかないので、そこはやめておきます。

やはり、ここに出てきている人たちは自分たちが実現したいこと、そして自分たちが守っていかねばならないことをしっかり考えながら動いてるよなーと。

特に、自分たちが守らなきゃいけないものってのがちゃんとありつつ、前に進むようにしないと、結局、アウトプットの質に影響してくるんですよね。自分たちの個性の源もブレてしまうので。


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プロデューサーズ制作チーム 佐野 一機 インパクト・コミュニケーションズ
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いつも楽しく読んでいます。

>「クリエイターの言うことを聞いていたら、良い物は作れない」
これなのですが、
クライアントの
の、タイポではないですか?

2008/03/25 09:22 sol1

あ、お恥ずかしい。

直しましたー!

2008/03/25 11:27 f-shin
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